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省エネから見る長期優良住宅とは?

長期優良住宅は、長期的に何世代も住めるグレードの高さが魅力です。ただし、設備のグレードが高いだけではなく、省エネという観点が含まれています。省エネ住宅という点から長期優良住宅を解説します。

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、長期間、良好な状態を保てる措置がされた家のことです。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が基準となり、認定されます。平成21年6月から新築を対象にスタートしました。平成28年4月には、既存住宅の増築や改築も認定対象もスタートしています。

長期優良住宅と認定されるには複数の認定基準をクリアしなければなりません。長期使用ができる構造や設備、居住環境への配慮、一定面積以上の住戸面積、維持保全の機関や方法を定めていることが挙げられます。

評価項目はもっと細かく分類されており、その中に省エネルギー性が含まれているのです。省エネルギー性とは、断熱性能などの省エネルギー性が確保されているかどうかをチェックされます。そのため長期優良住宅を検討する場合、省エネ性能が充実しているか、優れているかも考えた上での設計が求められるのです。

長期優良住宅に求められる省エネとは?

家に限らず、人間が生活をしていく上でエネルギーは欠かせないものです。自動車は動かすにはガソリンのエネルギーが必要ですし、照明やテレビやパソコンを使うには電気というエネルギーが必要です。

エネルギーを生み出すには石炭や石油や天然ガス、火力、水力発電ですが、資源がないと作り出せません。エネルギー資源は将来的に枯渇すると危惧されています。減少していくだけのエネルギー問題を解決するにはどうすればいいのか?そこで省エネルギー=省エネが提唱されたのです。

特に日本は石油のようなエネルギー資源が少なく、輸入に頼るしかありません。エネルギー自給率を高めるため新エネルギーに着目しました。新エネルギーとは、太陽光発電や風力やバイオマスなどです。自然の力を利用し、二酸化炭素の排出量も少ないというメリットがあります。

エネルギー問題を解決する省エネの仕組みを取り入れたのが、省エネ住宅です。たとえば、省エネと創エネを取り入れたZHE(ゼッチ)住宅があります。ZHEは創るエネルギーが消費エネルギーより多いのが特徴です。

断熱材による断熱性能を高めれば、冷房や暖房を使わなくて済みます。太陽光発電設備や省エネを考えた家電や照明を導入すれば省エネが実現し、地球環境を守ることにも貢献できるのです。

長期優良住宅の認定基準に変化も

「住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律」が令和3年5月28日に交付されました。その流れで、国土交通省において、長期優良住宅制度のありかたについて、制度や評価の課題についての検討会が実施されています。

省エネ性能の向上、長期優良住宅やZEHの普及拡大を考え上で現行基準を見ると、断熱等性能だと建築物省エネ法に基づく省エネ基準のUA値≦0.87(6地域の場合)ですが一次エネルギー消費量性能の基準がなかったのです。

検討会では、断熱等性能を、ZEH相当水準となるUA値≦0.6(6地域の場合)に、一次エネルギー消費量性能についても基準を設けてZEH相当水準のBEI≦0.8とする案が出ています。

参照元:国土交通省「住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001424534.pdf)

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅には多くのメリットがあります。省エネという観点から見てどんなメリットがあるのかも解説します。

快適な住環境が手に入る

長期優良住宅は一般の住宅と比較すると、グレードの高い設備が必要です。高い性能がないと、長期的に快適に過ごせる住環境の条件を満たせません。子どもや孫の世代まで安心して生活できるだけの快適性が求められるのです。

省エネ性能の観点から見ると、真夏や真冬は冷房や暖房を一日中点けっぱなしにすることもあります。結果、エネルギーの無駄遣いと共に地球環境へ悪影響をもたらすのです。長期優良住宅にすれば、高い省エネ性能を得られます。

断熱性が高まれば、エアコンを過剰に使用しなくても、快適に過ごせる環境が手に入るのです。使用しても、従来よりも効きがよくなるために少ないエネルギーで快適な住環境を整えられます。同時に光熱費が減るというメリットもあるのです。

減税措置で金銭的負担が多少軽減

長期優良住宅には複数の減税措置が設けられています。長期優良住宅は省エネ以外にも、床面積や耐震性能などさまざまな設備でハイグレードです。長期に渡って快適な生活をするためには必要なのですが問題は予算。省エネの条件をクリアするには断熱性能を高めなければなりません。金銭的な負担が大きいのです。そのとき、減税措置が助けになります。

住宅ローン減税は、住宅ローンを借りて、建築や購入をすると受けられる減税措置です。10年間、年末ローン残高1%が所得税と住民税から控除されます。通常、控除限度額は一般住宅だと4,000万円ですが、長期優良住宅なら5,000万円になるのです。控除限度額1,000万円の差は大きいでしょう。

参照元:国土交通省「住宅ローン減税Q&A」(https://www.mlit.go.jp/common/001423038.pdf)

不動産所得税や固定資産税や登録免許税の控除

不動産を取得する際に支払う不動産所得税、住宅や土地の所有者が支払う固定資産税、住宅や土地を購入したときや新築を建てたとき、所有権登記のために支払う登録免許税金で、控除や減税や税率の引き下げを受けられます。

不動産所得税では、一般住宅だと課税標準から1,200万円控除ですが、長期優良住宅なら1,300万円までの控除です。固定資産税は1/2の減税措置を受けられますが、一般住宅は3年間のみ。しかし期優良住宅なら、5年間の延長を受けられます。登録免許税も、戸建て住宅の税率は保存登記0.15%、移転登記0.3%ですが、長期優良住宅なら保存登記0.1%、移転登記0.2と税率の引き下げがあるのです。

参照元:国税庁「特定の住宅用家屋に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ」(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0020003-124_02.pdf)

長期優良住宅のデメリット

長期優良住宅のデメリットも把握しておきましょう。

減税措置があっても建築費が高い

長期優良住宅は、減税措置があるのは魅力です。それでも、ハイグレードな設備ですから建築コストは高くなりがちです。省エネに関する設備以外にも部材自体がハイグレードなため、一般住宅より余裕を持った資金を用意しなければなりません。ただし、その分、長期的に安心できる家に住めます。

考え方次第ですが、長期優良住宅だからこそダメージを少なかったというケースもあるのです。価格は安いが地震で半壊や全壊になれば、保険に入っていても同じような家を建てるのはむずかしくなります。その点も含めて長期優良住宅にするかどうか判断したほうがいいでしょう。

メンテナンス履歴の作成や保存をなまけられない

長期優良住宅の認定条件に、申請時の維持保全計画があります。建築後も計画を実施しなければなりません。大きな地震や台風が起きたとき、臨時点検が必要です。実施記録の作成や保存を怠けてはいけません。維持保全計画を実施しなかった場合、所轄行政庁が提出を求めてくればすぐにばれます。結果、認定を取り消される可能性があるのです。メンテナンスに手間がかかるのは長期優良住宅のデメリットです。

   

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