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パワコンことパワーコンディショナーは、太陽光発電システムを導入する際に欠かすことのできない設備。しかしながらソーラーパネルなど発電システムの方が目立っているため、セットである設備の割に、「はて、これはなんだろう…?」と首をかしげる人もいます。
そこでここでは、パワーコンディショナーとは何か、そしてその役割についても解説していきます。
太陽光発電を検討する際、必ずパワコン、パワーコンディショナーの名前が出てきますが、どのようなものなのでしょうか。
パワコンの大きな役割のひとつは、太陽光発電システムが発電したばかりの電力を、家庭で使えるように変換をする、ということです。というのも、私たちが普段家庭で使っている、電力会社から送電されてくる電力は『交流電力』というものですが、太陽光発電システムで発電した電力は『直流電力』といって周波数が違い、そのままでは使えないのです。パワコンは、そんな直流電力を交流電力に変換して、家庭で使えるようにしてくれる優れものなのです。
パワコンにも種類があり、もっとも重要で比較される点は、その変換効率です。直流から交流へ返還されるときには、少しだけエネルギーロスが発生します。住宅用の太陽光発電システムにおけるパワコンの変換効率は95パーセント前後と言われていて、この能力が高いほど性能が高く、当然価格も比例して高くなります。
パワコンに備わっている機能は、電力を変換させるだけではありません。メーカーによっても出来ることが異なりますが、代表的な役割を紹介しましょう。
前述のように重要な働きをしてくれているパワコンですが、その分太陽光発電システムの中では比較的トラブルも多いと言われています。どのようにして選べば良いかまとめてみましょう。
単相、三相というのは、電気の供給方式の違いです。これに合わせて、パワコンの種類が変わります。それぞれにメリットデメリットがあるので、確認しましょう。 単相式は、電源の電圧が家庭用の100Vでも動かせるものです。主に家庭用なので設置、電力会社との連携も簡単にでき、一台当たりの価格も安価です。保証期間も長めです。ただし、容量が少ないため、パネルを多く設置すると台数も必要になり、その分費用が掛かる可能性もあります。
一方の三相式は、電圧を200V必要とします。電力会社との連携は家庭用のものより手間がかかり割高になりますが、使えるようになればお得になります。容量も単相式のものより大きいため、台数も少なくなり、その分の費用は抑えられるメリットもあります。ただしファンがあるため稼働音が気になる人は少なくありません。保証期間も短めです。
変換時の電力のロスを出来る限りなくすためには、この変換率を確認しましょう。平均は95パーセント程度。この変換効率が高ければ高いほど性能が良く、効率よく発電できるということです。性能が良ければもちろんその分価格は上がりますから、設置業者と相談しながらちょうどいい製品を探しましょう。
最大定格出力とは、パワコンが送電できる最大電力のことをいいます。太陽光パネルの出力がパワコンを上回った場合、その分の電力をパワコンは送電できないため、パワコンの最大出力と太陽光パネルの出力をどちらも確認する必要があるでしょう。
パワコンは容量によって大きさが変わります。家庭用のものでも小型のエアコン程のサイズがあります。パワコン単体だけでなく、蓄電池一体型のものもあります。一体型であれば、パワコンと蓄電池の二つのスペースを考慮しなくてよいため、両方の導入を検討しているのであれば、一体型の方がスペースはコンパクトで済むでしょう。
住宅用のものは大抵の場合、配電盤付近に、産業用のものは大きさもあるので屋外に設置するのが一般的です。熱を帯びると変換効率が落ちるため、屋外の場合は日陰に設置します。また、屋外型のものは隣家と密接している場合は、稼働音を気にする人もいるかもしれません。
設置場所や、設置するスペースがあるかどうかも確認しましょう。
地震など自然災害が多い日本。太陽光発電システム導入を検討している人のなかには、災害時に自家発電で対応したいという人は少なくないのではないでしょうか。その場合、パワコンの機能に『自立運転機能』が備わっていなければ対応できません。
この機能は製品ごとの性能やメーカーによっても変わりますが、一般的には約1,500Wまで電力を使用できます。電力消費の大きい架電を使用する場合は、消費電力が上回らないように気を付けて使用します。
また、日中であれば発電して電力変換をしてリアルタイムで使うことができますが、日中発電した電力を夜間に使用する場合は、蓄電池で電力をためておく必要があります。災害時の仕様を検討している方は、蓄電池の設置も視野に入れましょう。
通常パワコンは回線が一つしかなく、太陽光パネルの枚数をパワコンに合わせる必要があります。一方、マルチストリング方式を採用したパワコンは回線が複数あり、設置できる範囲いっぱいまで太陽光パネルを増やし、設置することが可能です。ただし、その分価格はマルチストリング方式のパワコンの方が通常のものよりも高くなります。
過積載とは、発電量をアップさせることができる方法のひとつで、具体的にはパワコンに接続する太陽光パネルの量を増やし、パネルの容量がパワコンの容量より多くなるようにすることです。パネルの枚数を増やすことによって朝や夕方などの発電量を上げることで、全体の発電量の底上げをすることができます。
ただし、どのパワコンにどの程度の太陽光パネルを接続すれば安全か、確認をしておく必要があります。また、パワコンメーカーの保証はパワコンの1,2~1,3倍の過積載までしか対応されないことがほとんどです。なかには2倍程度まで保証しているメーカーもありますが、まずはそれぞれの機種やメーカーの過積載についての保証対応を確認してみましょう。
パワコン選びでも、もちろん価格は重要なポイントです。全体的に価格は下がってきていますが、メーカーや変換効率によっても価格が異なります。もちろん、機器の価格だけでなく、設置工事の費用も掛かって来ますから、何社かに価格の見積もりを出してもらい、比較検討も必要でしょう。
決して安いお買い物ではない太陽光パネル、パワコンの設置です。メーカーや機種にもより内容も異なりますが、保証についてもしっかり確認しておきましょう。
以前までは10年程度の保証が主流でしたが、パワコンの寿命自体が10~15年であるということもあり、15~20年の保証を設けているメーカーが多く見られます。出来るだけ長期の保証であれば安心ですね。
また、太陽光パネルとパワコンを一式で購入の場合は、保証もシステム全体での保障となるので、そのことも念頭に入れておきましょう。
パワコンを選ぶ際のポイントをいくつか紹介してきましたが、設置場所についても確認を忘れないようにしましょう。
例えば、住宅地でお隣の家と隣接しているようであれば、パワコンの稼働音で騒音トラブルになってしまう場合もあるので、稼働音が静かなものを選ぶ必要が出てくるでしょう。静音性についてはメーカーや機種にもよるので、しっかりご自身で調べたうえで、設置業者とも相談すると良いでしょう。
また、海のそばに住んでいて塩害があるなど、定期的なメンテナンスが必要になる場合もあります。パワコンは一度設置したら使い続けることになるので、メンテナンスの仕方を確認するとともに、保証内容なども把握しておく必要があるでしょう。
一般的に、太陽光パネルの寿命が20~30年、たいしてパワコンの寿命は10~15年と言われています。パワコンの方が寿命が短いのは、パワコンには可動部分があり、その部分が可動時の摩擦によって消耗してしまうからだと言われています。
故障する要因としては大きく「初期段階の接続不良」「熱や経年による部品の劣化」「外部環境による悪影響」が挙げられるでしょう。特にパワコンオーナーとして気をつけられるのは後者二つです。部品の劣化についてはどんな製品にもつきものですが、換気フィルターの定期的なメンテナンスなどで、故障を防ぐことはできます。外部環境は雨風だけでなく、虫やほこりなども部品が故障するきっかけを作ることがあります。
計画時や設置時に、どのようなことが故障に繋がるのか、またどうすれば故障を防げるのかを調べて実行しながら、できるだけ長く使っていきましょう。
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