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「スマートハウス」や「サステナブル住宅 」は、次世代のエコな住まいとして注目されています。太陽光発電などの省エネ設備を導入する以外に、住宅自体の省エネ性能基準にも注目して家を建てるケースが増えてきました。
ここでは、住宅の省エネ基準の概要と2つの基準について紹介します。
住宅の省エネルギー基準とは、地球環境問題の解決などに向けて省エネ化を促進し、住みやすい家づくりにも役立つものとして利用されている複数の基準のことです。
1970年ごろ、石油の輸入停止によるオイルショックが発生。それを受けて、1979年に省エネ法と呼ばれる「エネルギー使用の合理化に関する法律」が制定されました。
この法律に基づいて省エネ性能を強化した建築物や設備の拡大が図られていきましたが、2011年に東日本大震災が発生したことでエネルギー需給の逼迫が懸念されたために、2013年には建築物省エネ法と呼ばれる「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」が新法として公布されました。
これをさらに「改正建築物省エネ法」として、断熱性の基準や住宅で使う設備のエネルギー消費量が基準化されました。建物の断熱だけではなく家電や給湯によるエネルギー消費も含めて、住宅で使うエネルギー全般に基準値を設けることになったのです。
現在、住宅の省エネ基準は「外皮性能基準」と「一次エネルギー消費性能基準」の2本立てとなっており、新法の見直しによって新たに外皮面積あたりの断熱性能や一次エネルギー消費量に関する基準がトータルで判断される仕組みとなっています。
外皮性能基準とは、建物の外皮性能(断熱性能)を判断する基準です。寒暖差の大きな地域や冬が長い寒冷地はもちろん、省エネ性能を判断するうえでも外皮性能は重要なポイントになります。
外皮性能は、外皮平均熱貫流率(UA値)と、冷房期の平均日射取得率(ηAC値)で構成されています。
値を算出するときは、建物の存在するエリアの区分ごとで規定された基準値よりも数字が下回っていなくてはなりません。算出にあたっては外皮性能計算シートなどを使い、正しく値を求める必要があります。
UA値は室内外への熱の出入りのしやすさを、ηAC値は冷房を使用している期間中の太陽日射の入りやすさを示しています。
UA値が小さいほど熱の出入りが少なく断熱性能が高いと判断され、ηAC値が小さいほど日射が入りにくいため遮蔽性能が高い住宅と判断できます。
一次エネルギー消費性能基準とは、住宅内に設置されているあらゆる設備が消費するエネルギーの量を5つの項目に分類して、エネルギー消費性能を判断する基準です。
一次エネルギーとは、化石燃料・水力発電や太陽光発電で得られるエネルギー、原子力燃料などを指します。電気や灯油などは一次エネルギーを変換したもので、二次エネルギーとして分けられています。
一次エネルギー消費性能基準では、電気やガスなどの二次エネルギーを一次エネルギー消費量に換算することで、建物の総エネルギー消費量を計算します。
住宅は冷暖房設備・機械換気設備・照明設備・給湯設備などを合計し、数値が小さいほど省エネ性能が高いと判断されます。
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