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省エネ住宅を検討する時によく考えるのが、断熱材や窓、それに床暖房など。どれも省エネに大切なものばかりですが、忘れてはいけないのが省エネ給湯器です。お風呂やキッチンで毎日のように使うお湯も、省エネにできるものがいろいろあります。ここでは、そんな省エネ給湯器の種類や特徴、メリット、デメリットをご紹介します。
照明、冷暖房、キッチンと家の中では24時間あらゆるエネルギーが使われています。その中で給湯システムはおよそ3割と、意外なことに多くを占めています(※1)。それだけ毎日使う給湯器ですから、選び方ひとつで大きく省エネできるのです。
給湯器の種類は、エネルギー源だけで大きく分けると電気、ガス、石油、太陽熱などがあります。家計にもやさしい給湯器を選ぶポイントは、それぞれの給湯器の特徴をしっかり理解して、予算やライフスタイルに合わせた使い方なども一緒にじっくり検討することです。
※1.参照元:東京電気管理技術者協会「電気安全に関するQ&A」 http://www.eme-tokyo.or.jp/consultation/faq/answer34.php
都市ガスまたはLPガスを燃料とする給湯器で、エネルギー利用率は95%と他機種と比べて同等です。CO2排出量は従来製品に比べ約15%削減(※1)しており、他のガスや石油系給湯器より少なくなっています。交換費用は施工する会社により異なるものの、約25〜40万円で対応してくれる会社もあります。初期費用を抑えつつ省エネ給湯器に変えたい方にも向いているでしょう。従来型の給湯器と比べてガス代もおよそ約15%節約(※2)できるので、使用量が多ければ多いほど、節約効果を感じられるでしょう。
またエコジョーズは瞬間給湯式です。貯湯タンクがなく省スペースであることもメリットで、戸建てであれば屋外に設置する壁掛型や据置型となります。また床暖房や浴室乾燥対応の温水暖房機能付きのものもあるので、冬が長い札幌では使い勝手のいい機種となりそうです。
※2.参照元:リンナイ「エコジョーズって何?」(https://rinnai.jp/products/waterheater/gas/what/ecoj/)
ガスに含まれる水素を燃料とするシステムを利用し、ガスにより発電をして同時に排熱を利用してお湯を沸かすことができる給湯器です。電気代を抑えることができるだけでなく、発電所からの送電ロスを抑えられることから、エコロジーに貢献できる機器として知られています。太陽光発電と併用すれば自宅で電力の多くを補うことが可能。交換費用は施工会社によって130〜180万円と高めですが、設置のための補助金やガス会社によってはエネファーム専用の料金システムも用意されています。
スペースについては燃料電池ユニットと貯湯タンクを設置しますので、ある程度の広さが必要なこと、また運転時には低周波音が出ますので、家族の睡眠時や近隣世帯のことを考えて設置場所を選ぶ必要があります。しかしこのタンクは停電時でも電気の供給があり、大量に使用してもバックアップ熱源機によりお湯切れを起こすリスクが低いため、生活用水として災害時の備えになることはメリットと言えるでしょう。
エネファームと同じくガスから電気を作りお湯を沸かすコージェネレーションシステムの給湯器ですが、エネファームの普及もあり、2017年に販売が終了(※3)しています。故障などで交換が必要な場合は、使用量や目的別にどの給湯システムがいいかを検討してください。
※3.参照元:大阪ガス(https://home.osakagas.co.jp/search_buy/ecowill/about/lineup.html)
ヒートポンプという大気中の熱と電気を使用して加熱する給湯器です。従来型の給湯器と比較すると、電力消費量を1/3に抑えることも可能です。これにより、一次エネルギー消費量を抑えることにも期待されています。設置費用は施工する会社により約40万~80万円とされ、年間のランニングコストも従来型と比べ抑えることが可能です。これは電気代の安い深夜にお湯を作ることにより、大幅に電気料金を抑えられるのが理由。
エネファームと同様に貯湯タンクやヒートポンプユニットを設置することと低周波音の問題があるので、スペースの確保や設置場所などは考慮する必要があります。またエコキュートにはバックアップ熱源機がないので、タンク容量以上のお湯を消費するとお湯切れを起こす可能性があります。
昔からよく見かけた、屋根の上に黒くて平らな集熱板と立体的な貯湯タンクが一体化したものが自然循環型の太陽熱温水器です。太陽熱で温められたお湯をそのままタンクで貯蔵し、必要な時に給湯する従来のシステムで、屋根の強度が必要ですが、コストがかからないタイプです。
太陽熱により温められたお湯をそのまま供給するので、暑い夏場のお湯は水で薄めないと使用できないほど熱く、逆に冬場は十分に温まっておらずあまり出番がないという不便さもあります。
太陽熱を利用する点では太陽熱温水器と同じですが、実はその仕組みが全く異なるのが強制循環型のソーラーシステムです。こちらは屋根の上には集熱器のみが取り付けられ、地上に蓄熱機とポンプユニットがあり、集熱器で温めた熱源を利用して蓄熱機の水を温める仕組みです。熱源に空気を利用する空気式ソーラーシステムと、不凍液などの熱媒を利用する液体式ソーラーシステムがあります。
家庭内で使用するお湯は全て供給できること、また天候の影響で集熱量が十分でなければガスや石油給湯器、電気温水器などの補助熱源で加熱して設定した温度にできるのが特徴で、エコジョーズと組み合わせて使用するケースもあります。
また一般的な給湯器のようなリモコンが付いているものもあり、給油温度の設定を始めとした様々な機能が利用できます。
省エネ給湯器にするメリットは、やはりランニングコストが少なくて済み、家計にやさしいことでしょう。省エネ給湯器は熱効率が高いタイプが多く、これまでの機種と比べて少ない燃料(ガス、石油や灯油、電気)でお湯を沸かすことも可能です。毎日使うお湯ですから、多く使う家庭ほど節約効果を感じられるでしょう。
またこれまでより少ない燃料で同じ量のお湯を沸かすことができるので、CO2(二酸化炭素)の排出量も少なくなります。地球温暖化の原因の一つである温室効果ガスを減らして、環境保持に貢献することは、これからの時代にも求められることでしょう。
省エネ給湯器は、熱効率を上げるためなどの技術や工夫により、本体価格が高額になる傾向があります。また貯湯タンクや専用ユニットが必要な場合もあり、取り付け工事も作業が多いため、設置にもある程度のコストが見込まれます。
そして実はお湯の使用量によっては損をすることもあります。省エネ給湯器は3~4人以上で使用するなど使用量が多いほど光熱費が節約できる仕組みですので、単身世帯やあまりお風呂を沸かさない家庭であれば、省エネ給湯器にするメリットを得にくい場合も。
省エネ住宅をこれから建てようと検討されている方は、断熱や窓、床など省エネ住宅の機能を活かして給湯器も省エネにすると、快適性だけでなく家計にも環境にもやさしい暮らしを実現しやすくないます。いずれにしても、家族構成やライフスタイル、オール家電にするか、また維持費など総合的に考えて、どの省エネ給湯器がいいのか検討してみることをおすすめします。